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【校長ブログ】バトンを後輩へつなげる~春日部高校卒業式における答辞~
3月17日、春日部高校では、入学許可候補者359名とその保護者の皆様が、入学許可候補者説明会のために来校されました。入学許可候補者は各教室で、保護者の皆様は音楽ホールで、入学式までの取組や春日部高校の教育方針などの説明を受けました。新入生一人ひとりの知・徳・体が伸張するように、学校としてしっかりと取り組みます。
3月15日の春日部高校卒業式では、在校生代表の送辞を受け、卒業生代表から答辞がありました。答辞の紹介はあまりないと思いますが、コロナ禍で3年間苦労した卒業生諸君です。私も答辞を聞いていて、心を揺さぶられました。後輩たちへの熱い思いも語られています。入学許可候補者の皆さんもご一読ください。コロナ禍を過ごした卒業生のメッセージを紹介します。
厳しい冬の寒さもようやく遠のき、温かい春の日差しが心地良い季節となりました。本日は私たちのために、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、校長先生をはじめ、御来賓の方々からお祝いや激励のお言葉をいただき、心から感謝しております。今まさに旅立ちの時が来たことを強く感じつつ、卒業生を代表して御礼申し上げます。
3年前の合格発表日に、自分の受験番号を見つけた時の喜びは、今でも鮮明に覚えています。それと同時に「女性と過ごす残り僅かな日々を全力で謳歌しよう」という気持ちと「春日部高校では、主要五教科だけでなく、情報、芸術、家庭、保健体育、SSHなど幅広い学問を学べるんだぞ」という期待感に満ち溢れていました。
しかし、そんな淡い希望は、新型コロナウイルスの蔓延により、瞬く間に崩れ去っていきました。今まで経験したころのない行動制限がかけられ、春高への登校は2カ月もの間、叶わないものとなってしまいました。その間、増えていったものといえば、春高から郵送され、取り組まずに放置していた大量の課題と体重計のメモリばかりでした。その後、登校が可能になったとはいえ、分散登校であり、マスクを着用してお互いの顔を知らない春高生活が始まりました。75期生の春高生活の開始は順調とは言えないものでした。
しかし、個性的な春高生と過ごす中で、徐々に春高生活は充実したものへと変わっていきました。授業中、眠らないために立ったにもかかわらず、立ったまま寝る者。真冬でも半袖短パンで走り続け、集団走後には尋常でないほど肌が赤くなっている者。なぜか毎週月曜日だけは普段より1時間以上早く登校し、目にも止まらぬ速さで数学の課題を解く同志たち。部活動においては、大会の中止など様々な制限がかかる中で、全力で取り組む仲間たちの姿を見て、私たちは互いに成長していきました。そんな仲間たちと過ごす日々は、あっという間に過ぎてしまいましたが、春高での3年間は人生の中で、最も熱く最も激しい3年間でした。
1年生の時は、例年通りの行事を満足に行うことはできませんでした。そんな中で、3学期末に行われた学年行事は、春高生であることの実感をもたらしてくれました。クラスごとにドッジボールやリレーで競い、様々な衣装を身にまとった男たちが、今までの鬱憤を晴らすかの如く、学年全員で校庭を練り歩きました。
3年生の時の春高祭では、一般公開の中止が発表され、春高全体が悲しみに沈みました。しかし、生徒会の方々を中心に春高生が心を一つに署名活動に参加し、一般公開の実施のため尽力しました。遂に実施が可能になった時の喜びは、一生忘れません。大勢のお客さんに来場していただき、活気にあふれた春高を見て、「春高に入学して良かった」と改めて感じました。
このような素晴らしい春高生活を送ることができたのは、日頃から生徒の自主性を重んじて指導していただき、コロナ禍でも行事を実施するために尽力してくださった先生方のおかげです。サッカーと息子たちをこよなく愛し、SNS上でも春高生に大人気の生物科教諭、十八番のネタを使い回しすぎたあまり、助詞というだけでシーコールを喰らってしまう国語科教諭、普段は緊張感のある授業を展開しながらも、時折笑いをとるためにノートに面白い話を書き留めているお茶目な面がある日本史教諭。そして、世界一素敵で仕草が可愛らしい男子校である春高に希望をもたらした学年主任の数学教諭。他にも多くの先生方に普段の学校生活や、受験期には講習や添削指導などでお世話になりました。3年間、私たちを支えてくださり、ありがとうございました。
在校生の皆さん、春高には何事にも全力で取り組める環境、そしてお互いに切磋琢磨できる仲間たちがいます。この目まぐるしく変化する社会の中では、学校生活でも多くの困難にぶつかることもあるかもしれません。しかし、春高生は移り変わる時代に対応する力を持っています。是非古き良き伝統を継承するとともに、皆さんの手で新たな伝統を創り上げ、より魅力のあふれる春日部高校にしていってください。在校生の皆さんの今後の活躍を、卒業生一同心から期待しています。
保護者の皆様、本日までの18年間を当たり前のように過ごすことができたのは、皆様のおかげです。毎日お弁当を作ってくれたり、大運動会が近づくと、砂まみれになった体育着を洗ってもらったりしました。まだまだ未熟な私たちですが、これから少しずつ恩返しができるように、日々精進してまいります。普段は恥ずかしく、面と向かって感謝の気持ちを述べることができないので、この場をお借りて伝えさせていただきます。本当にありがとうございました。
そして卒業生の皆さん、これから進む道は一人一人異なりますが、春高で過ごした日々は、皆さんの心の中に刻まれていることでしょう。春高で学んだことを、今後の人生で活かし、いつか再開した時には笑顔で思い出を語り合えるように、それぞれの道を歩んでいきましょう。
最後になりましたが、今までご指導してくださいました諸先生方、私たちを支え、大切に育ててくださった保護者の皆様、並びに本日お忙しい中、御臨席を賜りました御来賓の皆様に心から感謝の意を表しまして、お礼の言葉といたします。