校長ブログ

【校長ブログ】今も昔も悩みは同じです~学校に求められるもの~

 5月26日、中間考査あけの春日部高校ではバレーボール大会を開催しました。クラス対抗で熱戦が繰り広げられました。スポーツは勝敗にこだわりがちですが、私は勝敗よりも、仲間を信じる心、仲間を助ける力など、スポーツを通じて社会で必要な人間力を育むことが大切だと思っています。

 明日5月27日、春日部高校ではPTA・後援会総会が開催されます。PTAの活動は19世紀末にアメリカで始まりました。日本には戦後、アメリカから導入されたものです。

  PTAとは、Parent-Teacher-Associationの略で、「親と教師の会」という意味です。保護者と教師が互いに学び合い協力し合って、子どもたちの健全な成長を図ることが目的の団体です。校長室の資料の中から保護者への「御願」と題した資料がありましたので要約して紹介します。なかなか興味深い内容です。

 

・家庭においては、絶えずお子さんの登校・帰宅に注意し、異常があった場合には、すぐに学校にご連絡ください。遅刻・欠席等はやむを得ない場合に限るようにしてください。

・起床・勉強等を規則的にし、夜間の外出・娯楽施設等への出入りは十分に注意してください。悪友の誘惑は青少年にとっては一番危険であり、堕落の原因になりますから、友人の選択には特にご注意ください。

・読物の影響も非常に大きく、雑誌や文学書を読みふけって、教科書を打ち捨てて顧みないなどは学力低下の最大の原因ですから、日頃の読物にご留意ください。

 ※今ならスマホに夢中ならないように、ということでしょうか。

・保護者会の開催のご連絡を差し上げた場合には、万障お繰り合わせの上、ご来校くださるとともに、機会あるごとにご来校・ご懇談をお願いします。

という4つの留意事項ですが、これ、いつ頃書かれたものだかおわかりですか?何と、今からちょうど90年前の1933(昭和8)年2月7日に出された「我等が學校」という、今でいう「学校便り」のような配布物の中の文章です。この「我等が學校」の中には、学校と保護者との連携の大切さや、社会との交流・協力の必要性、そして、そのことによる生徒自身の自覚と奮起によって、初めて教育効果が上がる旨の内容が、格調高い文章で書かれています。

 1933(昭和8)年とは、その前年に陸海軍の青年将校たちが内閣総理大臣官邸に乱入し、犬養毅首相を暗殺した5・15事件(1932年)が起きています。また、1933年は、ドイツではアドルフ・ヒトラーによるナチス政権が成立したり、日本が1931(昭和6)年に勃発した満州事変の対応をめぐり国際連盟から脱退をするなど、世界的にも不安定な時代に突入していきます。

 90年前も現在も、保護者と学校の連携の大切さなど同じようなことが言われています。子供を健全に成長させるという教育の本質は、変わらないということでしょうか。