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【校長ブログ】125年目の春高~校旗の歴史~
5月24日、春日部高校では、1学期中間考査(5月19日~24日)が終わり、開放広場で創立記念日校長講話、壮行会を行いました。1年生は高校での初めての定期考査で緊張していたようです。春日部高校では、試験勉強の工夫もアドバイスしています。自習室は毎日午前7時から開放していますし、図書館、教室やコモンスペースは午後8時まで開放しています。受験は個人戦ですが、受験勉強は団体戦です。試験結果に一喜一憂するのではなく、自分の弱点に気付いて、真の学力、教養へとしていきましょう。
次に校長講話の内容を紹介します。
5月25日は、春日部高校の創立記念日です。本校は1889年4月に、埼玉県第四中学校としてこの八木崎の地に創立されました。そして、124年前の5月25日、当時の樺山 資紀(1837‐1922)文部大臣のご臨席のもと、開校式を行ったので、この日を創立記念日に定めました。薩摩出身の樺山 資紀は、警視総監や海軍大臣、内務大臣などを歴任した人物です。1891年のいわゆる第2回帝国議会における「蛮勇演説」で日本史の教科書にも記述されている人物です。
春日部高校の校旗はこれです。この校旗は、皆さんが卒業すると同窓会などで必ず掲揚されます。この校章は、ヨーロッパの地中海の島国であるマルタと深いつながりがあります。
現在の校章は1928(昭和3)年12月10日に制定されたものです。第9代校長の小林伊三郎先生と美術の堀越庸吾先生の2人がデザインされています。1930(昭和5)年に出された「30周年記念学友会報」という旧制粕壁中学校の記念誌によると、「マルタ十字は古来より『禍を転じて福をもたらす』印(しるし)と言われている」と記されています。マルタ十字は、マルタ騎士団(ヨハネ騎士団)のシンボルです。マルタ騎士団は11世紀末の第1次十字軍時代(1096~99年)にエルサレム付近で傷病者看護の目的で設立されました。騎士団は、その後エルサレム付近からクレタ島、ついでマルタ島に本拠を移したのでマルタ騎士団と呼ばれるようになりました。1798年、仏革命政府のナポレオン・ボナパルトに侵攻されたマルタ騎士団は、キリスト教徒に対し武器を取ることを禁じる掟によりマルタ島を離れ、現在はローマの一つの修道会になっています。
マルタ十字は、騎士道に通じるその8つの義務を表しており、「①忠誠心、②敬虔さ、③率直さ、④勇敢さ、⑤栄光と名誉、⑥自己犠牲、⓻弱い者を護る、⑧教会への尊敬の念」です。現在は領土はないが、今日でも国際法上の「領土なき独立国」とも呼ばれ、112カ国と外交関係があり、国際連合ならびに欧州連合(EU)にオブザーバーとしても参加しています。
春日部高校の校章が制定された1928(昭和3)年。第一次世界大戦が終結して10年が経過し、日本は国際的には、国際連盟の常任理事国(1920年)、ワシントン海軍軍縮条約締結(1922年)など国際協調の時代であり、国内的には政党内閣制が定着し、田中義一内閣(立憲政友会)の時代です。2月には初の普通選挙が実施されました。いわゆる大正デモクラシーの時代、春日部高校の校章には、人としての高い倫理観・果たすべき義務などが込められているのだと思います。
春日部高校は今年創立125年目伝統校の特色のひとつは、活発な同窓会活動です。春日部高等学校同窓会は、国内だけでなくヨーロッパを含め県内外に37支部があります。
春高の3年間で、一生付き合っていける友人を作り、その友人たちと切磋琢磨しながら大きく成長してください。そして、将来、春高で培った力を社会の発展のために大いに発揮して欲しいと思います。