校長ブログ

【校長ブログ】忍耐剛毅わがつるぎ 誠実質素われがたて~春日部高校卒業式~

 3月14日、春日部高校では、第76回卒業証書授与式を挙行しました。校訓「質実剛健」、教育方針「文武両道」のもと、授業や部活動、学校行事などに全力で取り組み、見事に実践した76期生の皆さん、卒業おめでとうございます!

式後に校内の開放広場では、応援指導部団長の指揮のもと、第一応援歌「秩父の嶺」などを声高らかに歌い、最後は校歌で締めました。

 校歌の一節にある「忍耐剛毅わがつるぎ 誠実質素われがたて」の精神で、益々活躍してくれることを祈念しています。最後に校長式辞を紹介します。

 厳しかった冬の寒さも日増しにやわらぎ、春の息吹を感じる季節になりました。この春の佳き日に、埼玉県立春日部高等学校 76期351名の諸君が、この八木崎の学び舎から旅立つことを、大変うれしく思います。

 御来賓の皆様のご臨席、多くの保護者の皆様のご列席を賜り、私たち教職員とともに卒業生の門出を祝していただけますこと、心より感謝申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与いたしました351名の76期生諸君、卒業誠におめでとうございます。保護者の皆様におかれましては、御子息の御卒業、心からお祝い申し上げます。この3年間は様々な御苦労、御心配があったことと拝察いたします。

 76期生諸君。3年前に春日部高等学校の狭き門を突破し、それぞれの夢や希望を抱き、入学してきました。しかし、期待していた春高生活は、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言により、三密回避、昼食の時間の黙食、部活動の制限、大運動会の種目変更、春高祭の非公開や規模縮小など、様々なことを受け入れざるを得ない状況となりました。

  2年生になると、春高祭で大きな動きがありました。ウイズコロナが模索される中で、埼玉県教育委員会は「文化祭は一般公開しない」という方針を出しました。生徒会、文化祭実行委員会の執行部諸君は、春高ファンのために春高祭を一般公開したいという思いから、有志でインターネットで署名を集めつつ、校長へ訴えに来ました。その時に私が話したのは「正々堂々」。目的達成のためには手段を選ばないという不択手段は戒めました。

 “忖度”という言葉が都合よく使われてしまう今日の日本社会において、私は、将来社会のリーダーとなる春高生諸君にとって、手続きに則り、正々堂々と意見を述べることは、とても大切な姿勢だと思っています。

 生徒会、文化祭実行委員会執行部の諸君は、私の意を理解して、文化祭一般公開における課題や全国の高校文化祭の一般公開状況をしっかりと分析し、その対応策を提示するという「課題発見課題解決力」を発揮し、埼玉県教育委員会へ正々堂々と要望しました。その結果、埼玉県教育委員会では要望を受け、一般公開容認へ方針を変えました。

 世界がコロナ禍前の時代に戻ることはありません。これからのポストコロナの時代は、皆さんが創る新たな世界です。

 76期生諸君。本日、春日部高等学校から、それぞれの夢と希望を持って、新たな道へ歩み出していきます。諸君が歩み出す今日の社会は、国際社会では、ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナ自治区ガザでの軍事衝突と人道危機、貧困、地球環境問題など、困難な多くの問題に直面しています。日本では、能登半島地震、円安、GDP世界第四位への後退など、縮みゆく日本の前途が案じられています。

 そこで、諸君に日本海に浮かぶ孤島である島根県隠岐諸島の海士町の町長であった山内道雄さん(1938-2024)の言葉を贈ります。

 

「よそ者」、「若者」、常識を覆す「ばか者」が島を変える

 

 私は、この言葉は、米国の実業家(アップル創業者)のスティーブ・ジョブズ(1955-2011)が、2005年にスタンフォード大学卒業式でのスピーチの最後に語った「Stay Hungry, Stay Foolish」と共通する理念だと思っています。

 皆さんは、島根県海士町をご存知ないでしょう。私は2回訪問しました。埼玉県からだと飛行機と船を使っても9時間、新幹線と船を使うと12時間もかかる日本海に浮かぶ隠岐諸島の中ノ島にある人口2300人の町です。かつては7000人いた人口は年々減少し、財政破綻寸前のコンビニもない日本海に浮かぶ離島の小さな町が、アイデアのある町長と“日本一安い給料で日本一働く町職員”を中心に、“奇跡の復活”を成し遂げ、10年間で400人の移住者を迎えました。日本国内なのに、なぜか国際協力機構(JICA)の職員も派遣されており、島の活性化に活躍しています。

 「よそ者」「若者」「ばか者」とともに町の人々が見つけた“宝物”とは何だったのでしょうか。「よそ者」とは、第三者の視点を持った、冷静な分析ができる人のことです。様々なデータを分析し、客観的な情報から強みや弱みを伝えます。「若者」とは、年齢的なものではなく、積極的に活動に取り組む“実行”できる人のことであり、常に前向きの人のことです。「ばか者」は、いわゆるアイデアを出す人で、時には、羽目を外すアイデアや大胆な企画から、活性化につながることもあります。無責任な壊し屋とは違うので、その大胆な企画にも愛が込もっています。人が、組織を、社会を、国を変えるのです。

 76期生諸君。ポストコロナの時代は、過去の成功例が通用せず、「正解」がない時代です。「正解」は一つではないでしょう。皆さんの今までの勉強の多くは、一つの答えのある問題を解くことでした。しかし、これからは、何が問題か分からない場合もあれば、問題が分かったとしても誰も答えを知らないという状況に遭遇します。21世紀を生き抜く諸君は、この「解」のない課題に立ち向かう気概を持ち続けましょう。新しい価値をどんどん築くことがよい社会になる礎になります。失敗することを恐れず、チャレンジしてください。

 本日の卒業式において、諸君の飛躍を祈念し、この会場に集います全員で、校歌を力強く歌い、諸君を送り出したいと思います。

 校歌“大河滔々”は、旧制中学校時代から春高生の間で百年に亘って歌い継がれてきました。春高生の魂のふるさととも言うべき不朽の校歌を切磋琢磨した仲間と斉唱し、本校の卒業生として、地域社会と国際社会の豊かな発展のため、生涯にわたり挑戦する決意を新たにしていただきたいと思います。

 76期生諸君の健闘を称え、ますますの活躍を期待するとともに、前途に幸多きことを心からお祈り申し上げ式辞といたします。