校長ブログ

【校長ブログ】自由と規律 ~令和4年度修了式~

 3月24日、春日部高校では修了式がありました。春高生への期待を込めて、激励のメッセージを送りました。修了式の校長講話を紹介します。

 

 一昨日の3月22日、6年ぶりに開催された野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、栗山英樹監督率いる「侍ジャパン」が、決勝で前回王者のアメリカを3-2で破り、3大会ぶりの王座奪還を果たしました。スポーツは、見るものを興奮させます。しかし、春高生諸君は、活躍する者は、目に見えない努力をしていることを気付いていると思います。

 春日部高等学校は、校訓「質実剛健」、教育方針「文武両道」を実践し、広く社会で活躍できるリーダーを育てることを目指しています。1年生諸君。いよいよ先輩になります。後輩たちの良き目標になる先輩になって欲しい。中だるみをしない高校2年生は全国に多数います。学習をしっかりやった上で部活動や学校行事など人間力を高める活動に積極的に取り組んで欲しい。自習室は午前7時からオープンし、午後8時まで図書館は開館しています。2年生諸君。3年ゼロ学期が終わろうとしている。臨戦態勢はとれているか?大学入学共通テストまであと294日。現役で第一志望校に合格できるよう、全力で勉強に取り組んでほしい。クラスや部活動の仲間たちと励まし合って頑張ってほしい。

 大学入試は、全国の凄い高校生がライバルです。私が受験した40年前も、現役生は、学年プラス1時間の学習時間の確保が必要だと言われてきました。春高生諸君、1日、2時間、3時間の家庭学習をしていますか?北は北海道、南は九州・沖縄の全国のライバルたちは、工夫しながら時間を捻出している。高校に通学するために寮に入っている者もたくさんいます。文武両道。文あっての武です。春日部高校の中で一喜一憂するのではなく、全国のライバルたちを想像し、埼玉県ではなく、もっと大きな世界をイメージしなさい。

 

怠ける者は不満を言うが、努力するものは目標を語る

受験は個人戦。だが、受験勉強は団体戦。

一人ひとりの心が強くなり、チームの絆が深まったとき、

サクラ咲く日はやってくる

 

 春高生諸君に、1冊の本を紹介します。1949年に岩波新書で刊行された 池田 潔 さんの『自由と規律』(岩波新書 1949年)です。いわゆる百刷り本の一冊で、今日では113回も印刷された古典的名著です。私は高校生の時に読みました。英国の1920年代のパブリックスクールやスポーツマンシップについて紹介しています。

 SNS上では、「春日部高校は、体育学校だ」といわれています。旧制中学校のながれをくむ浦和高校、熊谷高校、川越高校などの男子校に共通したものでしょう。しかし、これは運動能力を求めているものではありません。共同体にあっては、“全体の利益”のために“自分”をがまんし、「勝って奢らず、負けて悪びれず」、相手を重んじ、いやしくも卑怯な方法で得た不利益な立場によって勝敗を争うことはしない。“正々堂々”と行動するというスポーツマンシップを習得することが大事であること、それが「自由」の前提である「規律」を身に付ける英国の方法であるということを、池田潔さんの本で学ぶことができます。

 春高生には、どのような時であっても、「負けて悪びれない」態度を身に付けてほしい。負けることは悔しいことだが、それ以上に互いに全力を尽くしたことを認め、励まし合えるようになってもらいたい。そのような爽やかな気持ちや態度が、日々の授業や部活動、学校行事でも発揮され、お互いに成長し合える春日部高校を願っています。

 

春高生の皆さん

元気に挨拶していますか。

他人に優しくしていますか。

夢を諦めていませんか。

志 高く。