報告

【SS探究総合】第 21 回 方程式の解と群論 -ガロア理論の入り口に触れてみよう-

2月14日(火)は埼玉大学教授の飛田明彦先生のお願いして

「方程式の解と群論 -ガロア理論の入り口に触れてみよう-」

という特別講義を行っていただきました。

我々にとって馴染みのある「方程式の解」には隠れた(?)性質があるそうです。

まずは「2次方程式を解く」ところから話は始まりました。

馴染みのある「平方完成」は放物線の対称軸をy軸になるように平行移動しています。

この作業により「2次方程式の解の公式」が求まります。

3次方程式もこの方法にならいます。

対象の軸がy軸なるように平行移動して…

2次の項を消した方程式に直して、計算すると「3次方程式の解の公式」が求まります。

同様に4次方程式、5次方程式と行きたいのですが、そう簡単にはいきません。

なんと!「5次方程式の解の公式」は存在しないのです。

これを調べるには「解の対称性」を手段として用います。

3次方程式の解の対称性は4種類に分類されます。

この対称性(置換)の集合(群)を「ガロア群」とよび、

これが解の性質をコントロールしているそうです。

この一般型の解の対称性は「正三角形の移動の対称性」と同じなので

それを「群」という形で表わすと特別な性質を持ちます。(可解群と言うそうです。)

ここでガロアは

「方程式の解をべき根で表示できる」ことは「ガロア群が可解群」であることと同じ

であることを示しました。

(※ 「べき根」とは平方根、3乗根、4乗根、・・・のことです。)

このことを用いると「一般には5次方程式のガロア群は可解群でない」ので

「5次方程式の解の公式は存在しない」ことになってしまいます。

今回は雰囲気が伝わるように非常に工夫をして講義を行っていただきました。

(大学3年生が勉強する内容だそうです。)

我々が高校で学習している「数学」を深く掘り下げると不思議な(魅力的な!)世界が広がっています。

講義のあと、「正五角形の対称性」に関する議論をしている生徒もおり、知的好奇心が十分刺激された講義でした。

飛田先生、ありがとうございました。