日誌

【校長ブログ】教育は格差を超える力をつける~春高サイエンス・コード~

5月9日の産経新聞の一面で「教育格差時代 「探究型」で学び牽引」という記事がありました。

 私は戦後日本の大きな特色は、戦前にあった階級社会から平等社会への移行であったと思います。戦後78年が経過し、日本社会にはさまざまな「格差」が顕在化しています。

教育には古今東西、出自に関わらず学ぶ意欲があれば格差を乗り越える機能があります。

この機能は、戦後日本でも社会の流動化、活性化をもたらし、1960年代以降”一億総中流”といわれた経済的に安定した社会をつくりました。しかし、1990年代以降、日本社会でも「格差」が大きな社会問題になっています。

 産経新聞の記事にも「いま、さまざまな「格差」が社会に顕在している。そのうち、国の行く末を左右しかねない弊害とされるのが、将来をつくり、生きる子供たちの「教育格差」だ。どうすれば、学びに横たわる隔たりを埋めることができるのか。激動する時代を生き抜く知恵を身に付けさせる探究型学習の現場で、格差是正のための手がかりを探る。」とあります。

 春日部高校は、文部科学省から指定されているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に取り組んでいます。5月10日、1年生はSS課題研究基礎の授業で、最初の実験として、【ペーパーダイブ対決】を行いました。

授業の様子はこちら →  SS課題研究基礎

 春日部高校では、「春高Science Code」を探究活動のキーワードとしています。これは、本校SSHの第1期、第2期の成果や課題を踏まえ、第3期から導入したコンセプトです。問題解決を行う際の「疑問→仮説→先行研究の検索→テーマ設定→検証→考察」を一連の課題解決の過程として定義した教育活動を全校で取り組んでいます。

 前述の産経新聞の記事で 数実浩佑 宝塚大専任講師の言葉を紹介しています。「教育格差は、学校だけに、家庭だけに、解決を押し付けてすむような矮小なテーマではない。社会全体が変わらなければならない。」

 いよいよポスト・コロナの時代。コロナ禍前に戻るのではなく、ゼロからの構築です。まさに「正解」のない課題です。「正解」は一つではないでしょう。生徒の皆さんの今までの勉強の多くは、一つの答えのある問題を解くことでした。しかし、このように何が問題か分からない場合もあれば、問題が分かったとしても誰も答えを知らないという状況に遭遇します。21世紀を生き抜く皆さんは、この「解」のない課題に立ち向かう能力を身に付けることが必要です。そのような力は、春日部高校では「春高Science Code」をベースに広がっていると思います。