校長ブログ

2023年5月の記事一覧

【校長ブログ】今も昔も悩みは同じです~学校に求められるもの~

 5月26日、中間考査あけの春日部高校ではバレーボール大会を開催しました。クラス対抗で熱戦が繰り広げられました。スポーツは勝敗にこだわりがちですが、私は勝敗よりも、仲間を信じる心、仲間を助ける力など、スポーツを通じて社会で必要な人間力を育むことが大切だと思っています。

 明日5月27日、春日部高校ではPTA・後援会総会が開催されます。PTAの活動は19世紀末にアメリカで始まりました。日本には戦後、アメリカから導入されたものです。

  PTAとは、Parent-Teacher-Associationの略で、「親と教師の会」という意味です。保護者と教師が互いに学び合い協力し合って、子どもたちの健全な成長を図ることが目的の団体です。校長室の資料の中から保護者への「御願」と題した資料がありましたので要約して紹介します。なかなか興味深い内容です。

 

・家庭においては、絶えずお子さんの登校・帰宅に注意し、異常があった場合には、すぐに学校にご連絡ください。遅刻・欠席等はやむを得ない場合に限るようにしてください。

・起床・勉強等を規則的にし、夜間の外出・娯楽施設等への出入りは十分に注意してください。悪友の誘惑は青少年にとっては一番危険であり、堕落の原因になりますから、友人の選択には特にご注意ください。

・読物の影響も非常に大きく、雑誌や文学書を読みふけって、教科書を打ち捨てて顧みないなどは学力低下の最大の原因ですから、日頃の読物にご留意ください。

 ※今ならスマホに夢中ならないように、ということでしょうか。

・保護者会の開催のご連絡を差し上げた場合には、万障お繰り合わせの上、ご来校くださるとともに、機会あるごとにご来校・ご懇談をお願いします。

という4つの留意事項ですが、これ、いつ頃書かれたものだかおわかりですか?何と、今からちょうど90年前の1933(昭和8)年2月7日に出された「我等が學校」という、今でいう「学校便り」のような配布物の中の文章です。この「我等が學校」の中には、学校と保護者との連携の大切さや、社会との交流・協力の必要性、そして、そのことによる生徒自身の自覚と奮起によって、初めて教育効果が上がる旨の内容が、格調高い文章で書かれています。

 1933(昭和8)年とは、その前年に陸海軍の青年将校たちが内閣総理大臣官邸に乱入し、犬養毅首相を暗殺した5・15事件(1932年)が起きています。また、1933年は、ドイツではアドルフ・ヒトラーによるナチス政権が成立したり、日本が1931(昭和6)年に勃発した満州事変の対応をめぐり国際連盟から脱退をするなど、世界的にも不安定な時代に突入していきます。

 90年前も現在も、保護者と学校の連携の大切さなど同じようなことが言われています。子供を健全に成長させるという教育の本質は、変わらないということでしょうか。

 

【校長ブログ】125年目の春高~校旗の歴史~

 5月24日、春日部高校では、1学期中間考査(5月19日~24日)が終わり、開放広場で創立記念日校長講話、壮行会を行いました。1年生は高校での初めての定期考査で緊張していたようです。春日部高校では、試験勉強の工夫もアドバイスしています。自習室は毎日午前7時から開放していますし、図書館、教室やコモンスペースは午後8時まで開放しています。受験は個人戦ですが、受験勉強は団体戦です。試験結果に一喜一憂するのではなく、自分の弱点に気付いて、真の学力、教養へとしていきましょう。

 次に校長講話の内容を紹介します。

 

5月25日は、春日部高校の創立記念日です。本校は1889年4月に、埼玉県第四中学校としてこの八木崎の地に創立されました。そして、124年前の5月25日、当時の樺山 資紀(1837‐1922)文部大臣のご臨席のもと、開校式を行ったので、この日を創立記念日に定めました。薩摩出身の樺山 資紀は、警視総監や海軍大臣、内務大臣などを歴任した人物です。1891年のいわゆる第2回帝国議会における「蛮勇演説」で日本史の教科書にも記述されている人物です。

 春日部高校の校旗はこれです。この校旗は、皆さんが卒業すると同窓会などで必ず掲揚されます。この校章は、ヨーロッパの地中海の島国であるマルタと深いつながりがあります。

 現在の校章は1928(昭和3)年12月10日に制定されたものです。第9代校長の小林伊三郎先生と美術の堀越庸吾先生の2人がデザインされています。1930(昭和5)年に出された「30周年記念学友会報」という旧制粕壁中学校の記念誌によると、「マルタ十字は古来より『禍を転じて福をもたらす』印(しるし)と言われている」と記されています。マルタ十字は、マルタ騎士団(ヨハネ騎士団)のシンボルです。マルタ騎士団は11世紀末の第1次十字軍時代(1096~99年)にエルサレム付近で傷病者看護の目的で設立されました。騎士団は、その後エルサレム付近からクレタ島、ついでマルタ島に本拠を移したのでマルタ騎士団と呼ばれるようになりました。1798年、仏革命政府のナポレオン・ボナパルトに侵攻されたマルタ騎士団は、キリスト教徒に対し武器を取ることを禁じる掟によりマルタ島を離れ、現在はローマの一つの修道会になっています。

マルタ十字は、騎士道に通じるその8つの義務を表しており、「①忠誠心、②敬虔さ、③率直さ、④勇敢さ、⑤栄光と名誉、⑥自己犠牲、⓻弱い者を護る、⑧教会への尊敬の念」です。現在は領土はないが、今日でも国際法上の「領土なき独立国」とも呼ばれ、112カ国と外交関係があり、国際連合ならびに欧州連合(EU)にオブザーバーとしても参加しています。

 春日部高校の校章が制定された1928(昭和3)年。第一次世界大戦が終結して10年が経過し、日本は国際的には、国際連盟の常任理事国(1920年)、ワシントン海軍軍縮条約締結(1922年)など国際協調の時代であり、国内的には政党内閣制が定着し、田中義一内閣(立憲政友会)の時代です。2月には初の普通選挙が実施されました。いわゆる大正デモクラシーの時代、春日部高校の校章には、人としての高い倫理観・果たすべき義務などが込められているのだと思います。

 春日部高校は今年創立125年目伝統校の特色のひとつは、活発な同窓会活動です。春日部高等学校同窓会は、国内だけでなくヨーロッパを含め県内外に37支部があります。

 春高の3年間で、一生付き合っていける友人を作り、その友人たちと切磋琢磨しながら大きく成長してください。そして、将来、春高で培った力を社会の発展のために大いに発揮して欲しいと思います。

【校長ブログ】教育は格差を超える力をつける~春高サイエンス・コード~

 5月9日の産経新聞の一面で「教育格差時代 「探究型」で学び牽引」という記事がありました。

 私は戦後日本の大きな特色は、戦前にあった階級社会から平等社会への移行であったと思います。戦後78年が経過し、日本社会にはさまざまな「格差」が顕在化しています。

教育には古今東西、出自に関わらず学ぶ意欲があれば格差を乗り越える機能があります。

この機能は、戦後日本でも社会の流動化、活性化をもたらし、1960年代以降”一億総中流”といわれた経済的に安定した社会をつくりました。しかし、1990年代以降、日本社会でも「格差」が大きな社会問題になっています。

 産経新聞の記事にも「いま、さまざまな「格差」が社会に顕在している。そのうち、国の行く末を左右しかねない弊害とされるのが、将来をつくり、生きる子供たちの「教育格差」だ。どうすれば、学びに横たわる隔たりを埋めることができるのか。激動する時代を生き抜く知恵を身に付けさせる探究型学習の現場で、格差是正のための手がかりを探る。」とあります。

 春日部高校は、文部科学省から指定されているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に取り組んでいます。5月10日、1年生はSS課題研究基礎の授業で、最初の実験として、【ペーパーダイブ対決】を行いました。

授業の様子はこちら → SS課題探究基礎 

 春日部高校では、「春高Science Code」を探究活動のキーワードとしています。これは、本校SSHの第1期、第2期の成果や課題を踏まえ、第3期から導入したコンセプトです。問題解決を行う際の「疑問→仮説→先行研究の検索→テーマ設定→検証→考察」を一連の課題解決の過程として定義した教育活動を全校で取り組んでいます。

 前述の産経新聞の記事で 数実浩佑 宝塚大専任講師の言葉を紹介しています。「教育格差は、学校だけに、家庭だけに、解決を押し付けてすむような矮小なテーマではない。社会全体が変わらなければならない。」

 いよいよポスト・コロナの時代。コロナ禍前に戻るのではなく、ゼロからの構築です。まさに「正解」のない課題です。「正解」は一つではないでしょう。生徒の皆さんの今までの勉強の多くは、一つの答えのある問題を解くことでした。しかし、このように何が問題か分からない場合もあれば、問題が分かったとしても誰も答えを知らないという状況に遭遇します。21世紀を生き抜く皆さんは、この「解」のない課題に立ち向かう能力を身に付けることが必要です。そのような力は、春日部高校では「春高Science Code」をベースに広がっていると思います。

【校長ブログ】変えられるのは自分と未来~ポストコロナ元年~

 5月8日、本日からは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が感染法上で2類から季節性インフルエンザと同じ5類に移行しました。令和5年は、ポストコロナ元年と言われています。世界保健機関(WHO)は、5月5日に新型コロナウイルス緊急事態宣言終了を宣言し、3年3カ月ぶりに「日常」に戻りました。

 新型コロナウイルスは、2019年12月に中国湖北省武漢市で第1例目の感染者が報告されてから、わずか数カ月ほどの間にパンデミックと言われる世界的な流行となりました。我が国では、2020年1月15日に最初の感染者が確認された後、安倍晋三首相(当時)の要請を受けて全国の小中高校が3月2日から臨時休校となり、5月31日まで休校が続きました。あれから3年が過ぎ、「日常」に戻ったわけです。

 春の大型連休(ゴールデンウィーク)が終わりました。始まる前はワクワクして、あれをやろうこれをやろうと思っていましたが、過ぎてしまうとあっという間です。私もそのような一人です。

 ゴールデンウィークが終わると、新入生や新人社員などが新しい環境に適応できないことが原因でメンタル的に不安定になる「五月病」の季節でもあります。人間は常に後悔する生き物だと思います。「なぜあの時、あんなことを言ってしまったのか」と過去のことや他人の言動を気にするものです。カナダ出身の精神科医 エリック・バーン(1910~1970)の名言があります。

「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来」

という言葉です。

 他人の人生や過去に起こったことは変えることはできません。変えられない過去に執着するより、変更可能な「自分」と「未来」に注目してみましょう。

 「未来」を変えるためには、「行動」を変えていくことが大切です。自分の「行動」を変えれば、未来は変わります。一度やってうまくいったなら、次もその方法でやってみることです。うまくいったことを何度も続けているうちに、自分の得意分野ができてきます。そうした経験の繰り返しが自分の身を助け、自信をもたらしてくれるでしょう。逆に、うまくいかないなら他のことを試してみることです。うまくいかないことに、いつまでも執着することはありません。自分に合うものなら、時間も忘れて没頭できますし、合わないものの何倍もの速さで、取り組むことができます。

 「他人」と「過去」は変えられません。変えられるのは「自分」と「未来」です。この二つを変えることに取り組めば、「うまくいかない私の人生」が何倍も生きやすく、楽しいものに感じられるでしょう。