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春日部高等学校SSH事業計画(H22から5年間)
1.事業題目 |
科学技術は国際社会の中で複雑に絡み合いながら発展している。求められているものは、課題を科学技術の視点から共時的かつ通時的に把握し、解決策を模索して、それを他へ働きかけ、組織的に行動できることである。それを「知の構造化」と捉える。
本校において、理数教育を充実させた教育活動の中で、「知の構造化」ができるリーダーを育成する。
2.事業の方法 |
①科学技術を活用できるリーダーを育成する理数基礎学習の充実
学問や研究の連続性をふまえた理数基礎教育の充実によって、高い意欲と基礎学力・基礎技術を身に付けさせ、大学・大学院を経て、将来、科学技術を活用できるリーダーを育成する。
②将来の学問や研究に接続できる研究意欲の啓発
学習指導要領の範囲を超えた内容の授業や実験、先端知にふれる特別講義や見学・実習、研究体験等によって、理数系学問に対する興味・関心を高める。その興味や関心を高校生らしい身近な発見から着想した課題研究に活かして、学問や研究に取り組む基本的な姿勢や工夫の方法を身に付けさせる。
③高大接続を活かした課題解決学習
高校での数学・理科等の教科と大学での学問との接点を探りながら、大学や企業と連携をとり、大学のアウトソーシング事業やインターンシップ等も活用する。それによって、その知識や技術が実社会でどのように生かされているかを学ばせ、知識や技術、価値観を構造化し問題解決に取り組む基礎を身に付けさせる。
④リーダーに求められる情報リテラシーの育成
CMS(Contents Management System)を基盤とした学習支援システムを活用して、さまざまな知識や情報を活用する課題に取り組ませることによって、課題解決のための情報活用力と情報発信力の向上を図る。
⑤異文化体験による国際感覚の育成
ALTの活用を図り、英語等の授業においてコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を育成する。さらに、実際の国際交流の場面で同世代との異文化体験、「一流から学び」「一流と学ぶ」体験をさせることによって、国際感覚を持つリーダーの資質を育成する。
⑥リーダーとして求められる倫理観の育成
すべての教育活動の根本として、科学技術の進歩と社会の混迷に対応可能な資質「倫理観・社会性」の向上を図る。
⑦教科連携を生かした科学リテラシーの応用
理数以外の教科や体育系活動などにおいて、論理的な考え方や科学的な分析・考察を生かすことで、社会の多くの場面で活用可能な「科学リテラシー」を生かした知識や技術を身に付けさせる。
(2)研究開発の実施規模
①SSHクラスを1年次に2学級、2年次に1学級編成する。SSHクラスは入学時、2年進級時の生徒の希望と意欲、興味、関心、適性を踏まえ編成する。3年次は原則として理系クラスに所属させる。
②1学年及び2学年において、保健を「SS保健体育」として全員履修させ、医療や福祉分野に応用可能なスポーツ科学、運動生理学等の基礎学習に取り組む。
③1学年SSHクラスにおいては、理科、英語、情報、総合的な学習の時間をSSH教科・科目に振り替え、履修させる。
④2学年SSHクラスにおいては、国語(古典)、総合的な学習の時間の一部及び芸術をSSH課題研究に振り替え、履修させる。また、2学年SSHクラスでは、科学・医療・環境等の研究に求められる倫理観の育成のため、公民の倫理を履修させるとともに、化学Ⅰを1単位増加して履修させる。
⑤3学年では、2年次までSSHクラスに所属した生徒に対して、増加単位として「SS研究論文」を履修させ、課題研究論文に取り組む。
⑥SS教科・科目の学習において身に付けた課題解決能力を活用・深化させて、科学系部活動においては、さらに充実した研究やものづくりに取り組む。
(3)平成23年度の研究開発の内容
①学校設定科目「SS化学」
2学年に編成したSSHクラス1学級の生徒全員に実施する。
授業内容を高め、実験や実習による体験を他より多く取り組ませながら、専門性の高い科学内容にふれさせ、知識を深め、将来への意識を高めていく。
②学校設定科目「SS物理」
2学年に編成したSSHクラス1学級の生徒全員に実施する。
授業内容を高め、実験や実習による体験を他より多く取り組ませながら、専門性の高い科学内容にふれさせ、知識を深め、将来への意識を高めていく。
③学校設定科目「SS生物」
1学年に編成したSSHクラス2学級の生徒全員に実施する。
生物学について基本的な内容を学習し、さらに、現代の先端的な研究分野(特に医療、遺伝、環境等)における内容を学習し、また、高度な機器の利用方法も学ばせ、「SS課題研究」につなげる内容に取り組む。
④学校設定科目「SS保健体育」
1・2学年の生徒全員に実施する。
運動生理学的な実験・実習や動作解析の基礎、栄養学の基本知識をテーマに取り上げ、高度な機器を使用し、活用技術を学ばせ、医療・福祉等の分野へ応用可能な知識や技術を身に付けさせる。
⑤学校設定科目「SS情報」
1学年に編成したSSHクラス2学級の生徒全員に実施する。
コンピュータを使ってのIT活用技術を習得し、プレゼン資料作成の方法を身に付けさせる。
⑥学校設定科目「SSプレゼンテーション」
1学年に編成したSSHクラス2学級の生徒全員に実施する。
国際性の育成を主眼におき、英語によるディスカションやディベート、プレゼンテーション能力向上のための基礎的な指導に取り組む。
⑦学校設定科目「SS課題研究基礎」
1学年に編成したSSHクラス2学級の生徒全員に実施する。
数学系、化学系、物理系、地学系、生物系の講座を設け、オリエンテーション後に、各希望をとり、興味・関心の高い分野に別れ、研究を進める。各講座とも大学や外部の研究施設とも連携をとり、模擬講義や研究室での実験・実習にも参加させ、先端の研究や科学分野の魅力を体感させる。年度末には、研究報告を行い、将来の研究につながる意識を高める。
⑧学校設定科目「SS課題研究」
1学年で実施したSS課題研究基礎を受けて、数学系、化学系、物理系、地学系、生物系の講座に分かれ、希望・関心の高い分野に別れ、各テーマにもとづいて研究を進める。各講座とも大学や外部の研究施設と連携をとり、模擬講義や研究室での実験・実習にも参加させ、先端の研究や科学分野の魅力を体感させる。年度末には、研究報告を行い、3年次への論文作成につなげていく。
⑨科学技術、理科、数学教育(理数系教育)の改善取組
SSHクラスを1年次に2学級編成し、さらに2年次では選別し1学級編成を行い、一般的な普通科の教育課程を実施するクラスに所属する生徒との違いを検証する。「SS課題研究基礎」「SS課題研究」の授業では少人数のセミナー形式での講義と実習・基礎研究を実施し、理数系教育の質を高める。
⑩大学、大学院、研究施設等との連携
「SS課題研究基礎」「SS課題研究」での課題研究の設定や指導助言を受けるために、大学・大学院等の研究室と連携して、生徒の主体的な研究意欲の向上を図る。東京大学大学院工学系研究科、千葉大学工学部、東京理科大学理工学部等とは積極的に連携を図り、大学施設等を利用させていただき、実験や実習等で直接的な指導も受けられるよう取り組む。
⑪生徒の研究活動の支援
平成22年度は6時間目を実施し、その結果、部活動への参加や放課後の活用、学校行事に支障がみられるという指摘が生徒や教員から多くあり、平成23年度は変更を行う。SSクラスにおいては、週に1回、0時間目7:30~8:35(本校では通常65分授業を5時間行っている。)を設定し、5時間目に「SS課題研究基礎」「SS課題研究」に取り組ませる。その後は継続して研究に取り組める者、部活動等に参加する者等、自由に課題研究に取り組めるようにした。これまで以上に全校あげての協力体制が必要である。
⑫国際性を高める取組
SSHクラスの希望生徒を、アメリカ・ニューヨーク海外研修に取り組む。MIT(マサチュセッツ工科大学)、海洋生物研究所で研修に取り組み、科学の特別講義を受講させ、知識を深めると同時に科学への一層の動機付けに結びつける。また、事前・事後学習の一連の中でプレゼンテーションやディスカション能力も磨き、国際感覚を高める。
⑬小中学校、保護者、地域との連携
地域の小中学生、保護者等を対象に科学教室等、参加者の科学に関する興味・関心を高める事業を行う。その際、不動岡高校・越谷北高校など地域の高校と積極的な連携を図る。
研究機関や著名人の特別講座では、地域・保護者に参加を呼びかけ、本校SSHの取組を地域に還元する。
⑭研究発表・交流、科学系コンテスト参加
全国発表会への参加、校内発表会の実施に取り組む。また、他の一般生徒にも広く機会を設け、科学への関心を高めていく。部活動での先進的な内容では科学系コンテストへの出品や参加に積極的に進める。
⑮運営指導委員会の開催
校外の有識者等からなる運営指導員で委員会を組織し、本校の取組を見学いただき、また、説明を行い、指導・助言を求める。
⑯ 評価及び報告書の作成
運営指導員に年度末に今年度事業の評価をいただき、また、生徒・連携機関等にアンケートを実施し、事業効果を把握する。また、関係教員においても自己評価を行い、目的達成度を数値化し全体評価をまとめる。年度末には、各担当、そして全体で総括を行い、今年度の取組のまとめとして報告書を作成し、次年度への取組につなげる。
3.組織及び事業担当者 |
SSH推進部
校長 副校長 教頭 主幹 数学 理科 体育 |
事業担当
事業 項 目 |
実 施 場 所 |
担 当 者 |
①学校設定科目「SS理科総合」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
理 科 |
②学校設定科目「SS生物」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
理 科 |
③学校設定科目「SS保健体育」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
体 育 |
④学校設定科目「SS情報」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
情 報 |
⑤学校設定科目「SSプレゼンテーション」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
英 語 |
⑥学校設定科目「SS課題研究基礎」 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
理 科 |
⑦科学技術、理科、数学教育(理数系教育)の |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
理 科 |
⑧大学、大学院、研究施設等との連携 |
埼玉県立春日部高等学校 |
理 科 |
⑨生徒の研究活動の支援 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
学 校 全 体 |
⑩国際性を高める取組 |
埼玉県立春日部高等学校 |
英 語 |
⑪小中学校、保護者、地域との連携 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
SSH推進部 |
⑫研究発表・交流、科学系コンテスト参加 |
埼玉県立春日部高等学校 等 |
SSH推進部 |
⑬運営指導委員会の開催 |
埼玉県立春日部高等学校 |
SSH推進部 |
⑭評価及び報告書の作成 |
埼玉県立春日部高等学校 |
SSH推進部 |
4.他からの指導(運営指導委員等) |
東京大学大学院工学系研究科 東京大学大学発教育支援コンソーシアム
千葉大学工学部 東京電力技術開発研究所 独立行政法人学位授与機構 埼玉県教育委員会